野村克也「ダメ出し連発」ボヤキ大放談(1)野球界に興味がなくなってきた

 3月29日、いよいよプロ野球ペナントレースが開幕。それに先駆け、ボヤキ節を聞こうとノムさんのもとを訪れた。ところが、いつにも増して止まらない! 古きよき時代の球界を振り返りつつ、新監督の力量を舌鋒鋭くメッタ斬りする!

 昨季リーグ優勝を果たした広島や西武からは、それぞれ中心選手が他球団やメジャーに流出し、ますます混迷が予想される19年シーズン。球界の重鎮・野村克也氏(83)にバッサリ斬っていただこうと直撃したところ、開口一番こんなことを言い始めた。

- 近頃は、残念ながら野球界に興味がなくなってきちゃったよ。10年前くらいからかね。「さすがプロだ!」という選手がどんどんいなくなっちゃった。

 今一番の選手って誰? 巨人の菅野か? いい投手だけど、普通の投手と比べてかけ離れた何かを持ってるかとなると違うだろう。それがないと本当の意味でプロとは言えない。特に投手の場合、一番の魅力はやっぱりまっすぐ。菅野は剛速球を投げるタイプじゃないからな。例えば金田さんなんかは、持ち球はまっすぐとカーブだけ。それで毎年20勝していたんだから。あれこそプロですよ。

- 見る者の心をつかむ「力と力の勝負」が少なくなってきたということだろう。ボヤキの標的はそのまま読売ジャイアンツへ、そして野村氏の長年の懸念である「球界の捕手不在問題」へと移ってゆく。

- 巨人だと、そもそも原の出戻りはどうなんだ。実績って何? 俺は原の手腕はあんまり評価していないよ。あれは典型的なお坊ちゃん監督。チヤホヤされすぎだよ。マスコミも悪いんだけど、監督が表に出たがっちゃダメ。監督は脇役であるべきでしょう。

 まあでも、今シーズンは阿部が捕手復帰するというから、それはよかったんじゃない。ケガしたみたいだけど。ファーストになった時は、「なんだ、ようやくプロのキャッチャーらしくなってきたのに」とガッカリしたもんです。やっぱり捕手は、第一に経験が要求されるからね。

 本物のプロと呼べるキャッチャーがいなくなって久しいけれど、期待している選手もいる。ソフトバンクの甲斐だね。

 なぜ甲斐かというと、日本シリーズというのはキャッチャー育成の場だからなんですよ。日本一を決める真剣勝負は、1球たりともおろそかにできない。阿部にしても、最初は〝打てるキャッチャー〟ということでしか目を引いてなかったけど、日本シリーズを経験してからガラッと変わってよくなった。

 優勝チームに名捕手あり、と言われる。V9した巨人で「ONが野球観を変えた」だの何だと言われたけど、当時のチームの要は正捕手の森ですよ。西武の伊東もそうだし、古田も、城島もそう。甲斐も去年のシリーズで一皮むけたんじゃないか。

 少年野球の指導をやっていた時も、キャッチャーをやりたがる子供なんて1人もいなかった。だからシリーズで甲斐が最高殊勲選手を獲ったのは非常にいい傾向ですよ。ふだん、たいていの人は野球を見ていても、キャッチャーに目がいかないからね。

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